episode 1「自分」
「このままこの会社で少しずつ少しずつ階段を上がって行くんだろうなぁ…」
1年前まで僕はそう考えていました。
そして生き甲斐やり甲斐を誰よりも沢山持って生きていました。
順風満帆
正に僕は順風満帆でした。
19歳で入社し(僕の時代は美容専門学校は1年間)
1年間でカットデビュー!
2年2ヶ月で店長就任!!
そのお店を2年半で上昇させ、美容歴5年目で新店舗のオープニング店長!!!
なんとその店舗は会社の売り上げレコードを更新!!!!
それから3年連続最優秀店長を獲得!!!!!
「あぁなんて幸せなんだろう❤️」
「美容師最高❤️店長最高❤️オレ最高❤️」
なんでも上手く行ってる時、勢いのある時って前しか見えないものですよね…
なんにも悩みなんてありませんでした。
このまま行けるとこまで!
先輩?「関係ないよね…実力社会でしょ…美容師ってそう言う職業でしょ…抜かれる方が悪いっしょ。」
やる気が出ない?「向いてないね…辞めた方がいいよ…この仕事、普通は楽しいしかないんだから。」
そんな事平気で言える小ちゃい若者でした…
(ホントに尖ってました…ホントに何にもわかっていませんでした…)
僕は自分の事が大好きでした。そして自分の事しか見えていませんでした。(きっとそうだったと思います。)
そんな僕に転機が訪れます…
スタッフ「あなたのやり方について行けない!」
な、な、な、なんと大好きな自分を否定されると言う事態!!!!
僕「じゃあ、いいよ。辞めてどーぞ。」
逆ギレもいいところ…。ばっさり切り捨てました…。
ワナワナワナワナワナワナ…………
※多分あの時の自分の中に巻き起こってたのはワナワナだったと思います。イライラ、ムカムカではありませんでした。
おかしくなりました…
そこから僕はおかしくなりましたよ。
何をやっても面白くない。
著しくテンションが下がる。
笑えない…。
だいぶショックでした…
だって「オレ最高❤️」を全面否定ですから…
オレ最高❤️のオレの部下がオレを嫌いになるなんて…
(オレばっかりすみません…)
強がってその子を切り捨てたものの、スッキリしない…
切り捨てた事への罪悪感でも、切り捨てた相手への嫌悪感でもない…
なんだろ…この感じ…
悩みました。何日も何日も悩みました。
生まれて初めて眠れない夜を体験しました。
生まれて初めて涙で枕を濡らしました。
生まれて初めて食べ物の味がしなくなりました。
生まれて初めて激ヤセしました…。
自分では答えを見つける事は出来ませんでした。
教えてくださったのは僕の師匠の言葉でした。
「お前がいるから、お前らが俺をそう呼んでついて来てくれるから、俺は今の役職を出来ているんだよ。」
そうです。
本当にそうです。
自分の部下がいてくれるから、彼らが今日もいてくれるから僕は店長でいられるのでした。
オレしか見えてない…
オレしか見てない…
僕はやっと気付きました。
「オレを見てちゃダメっしょ…」
「オレを支えてくれてる、一緒に戦ってくれてる人を見なきゃでしょ…」
相手がいる。
先ずは自分でなく相手があると言う事。
そんな事にやっと気付かせていただきました。
つづく。
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